これからは読めればいい
私はかなり前から夫に発達障害があると思ってきた。
今は「全てはスペクトラム」だと思っている。
私ならすぐに見つける物を、捜してもなかった、と言う。
目の前にあるのに、視線の先にあるのに、ないと言う。
ゆったり過ごすことがとても苦手で、休日は出たり入ったり、次々に「用事」に出掛ける。
出掛けなくてもじっとはしていなくて、色々と動いている。
とにかくよく音を立てる。
扉をこじ開けるような音。
扉にぶつかる音。
カーテンを破れそうな程強く開ける音。
食器を重ねる音。
物が落ちる音。
足音も大きい。
ボディイメージが弱いのだと思う。
昔、夫の文字を見た時、これ右手で書いたのかな(利き手は左)と真剣に思った。
どれだけエネルギーを要したのだろうと可哀想になる文字。
だから夫は書くことが嫌いで、可能な限りキーボードを打ち込む。
それが特別なことじゃない世の中になってきて、本当に助かっていると思う。
子どもが小学生の時、漢字の筆順にとても厳しい先生で、子どもは漢字が嫌いになっていたけれど、「これからは読めればいいんです」と書かれた本を目にして母子で少し安心したことを思い出した。