小学生の時に「写生」に行ったバラで有名な大きい公園がある。
まだ低学年だったと思う。
私のことだから、頑張って一人でバスに乗って行ったのだろうか。
その時から一度も、車で近くを通ることはあっても中に入ったことはない。
先月、かすかな希望を胸に、セカンドオピニオンを求めて向かった病院。
タクシーでその公園の前を通り、程なく着いた。
もしかしたら、バラが咲き始めていたのかもしれない。
ドクターからは丁寧に、厳しい、と説明された。
父と見た最後の花になった桜も、複雑な気持ちになるカーネーションも、いつか愛おしいと思えるのだろうか。
父が特に好きな花というのがなくて、切なくなる花がなくて、よかった。