幸せになれなくても
世界中で一番好きな人を全くの自分のせいで死なせてしまった悲しみなんて、永遠に薄れることはない。
わかってくれる人なんていない。
でも、あの時、それでも生きていくことに決めたのだから、書くこと以外にもそろそろ何かに心を向けなければ。
私は、形としては、夫がいて、子どもがいて、仕事があって、今は家族の誰も病気じゃなくて、トラブルに巻き込まれてもいなくて。
だから、まぁ色々あるかもしれないけれど幸せでしょ、それが幸せっていうもんだよ、感謝しなきゃ、という声がよくどこかから聞こえていた。
でもずっと、そうは思えなかった。
両親にも、家族にも、まわりの人にも、世界中の人にも、本当に申し訳ないのだけれど、私はあまり幸せだとは思っていなかった。
今はもうそんなこととは遠いところにいるのだけど。
結婚しているから寂しくない。
子どもがいるから喜びがたくさん。
仕事を持てて安心。
そう思われるかもしれないけれど、ずっとそうは思えなかった。
結婚しなければ、不安から家族を傷つけることもなかったし、怒りが目覚めて噴き出すこともなかった。
子どもがいなければ、辛い思いをさせて死ぬほど後悔することもなかったし、子どもの人生に重い責任を感じることもなかった。
仕事は必要だけど、惨めな自分をあれほど感じる空間はない。
両親があんなに苦労してくれたのだから、私は幸せにならないといけなかったのに。
もう幸せにはなれなくてもいいけれど、心を向けるものを見つけないといけない。
父と一緒に行けなかった私に、まだ行くところが見つからない。