きれいな夕焼けが見える所に住みなさいね。
大学の時の先生が最後の授業で、何か言葉がほしいのでしょう、と微笑んで、この話と、一つの熟語を教えてくれた。
あまり説明はなかったけれど、二つともずっと心の中にある。
東側のベランダから見える、夕焼けが反射したピンク色の空。
これも夕焼けというのだろうか。
色だけでも嬉しくなる。
昔から建物ばかりの所に住んでいたので、日が沈む広い景色はあまり見る機会がなかった。
それに、夕焼けの時間にはもう疲れていて、あまり心に染みなかったのかもしれない。
朝日のことは覚えている。
実家から通勤していた頃、バス停が東の方にあって、さあ、昨日までのことは忘れて今日も頑張るぞ、と毎朝明るい方向に向かって歩くのが気持ち良かった。
そういえば父と一緒にスカイツリーに行った時に夕日を見たはず。
最後の旅行になってしまったのに、よく覚えていないなんて…。
17才から運送会社で働いた父には、ホッとする夕焼けの光景が記憶にあっただろうか。
聞いてみたかったなと思う。