想像力で立ち上がる
悲しみとセットの景色や音を増やさないために、悲しみが薄れるまではできるだけ何も見ずに何も聴かずに、なんて。
じゃあどうやって悲しみは薄れるのか、と思う。
懐かしい歌、誰かの顔、声、道端の花、雨の音、食べ物、景色、そういうものに力をもらって、人は立ち上がれるんじゃないかな。
悲しみとセットになってしまっても仕方がない。
たとえ悲しみは薄れなくても、立ち上がることはできるんじゃないかと思う。
立ち上がりさえすれば、人の心には矛盾があるからその先はどうなるかわからない。
佇んでいる人からも、年齢の離れた人からも、本の中の人からも、力をもらえる。
生きていない人からも。
人は想像力で、生きていない人のことを納得するために、生きていない人と会話することだってできる。