何年もフィルター換えてないって信じられへんわ、と長男に言われた。
壁や天井にある換気口のこと。
ハウスダスト気にならへん?
はよ死にたいん?
子どものご飯さえ満足に作れない状態が何年も続いていたのに、そんなことに気が回るはずがない。
自分の大切な成長期に、母がちゃんと料理していなかったことを、忘れたのだろうか。
お風呂の鏡きれいにしといたで。
ネットで調べたら、酢を使うって。
母が何年もの間ゆっくり湯船に浸かるなんてできていないのを。
知るわけがないか。
ついでにキッチンの換気扇がおそろしく汚いのも見つけられた。
業者さん調べよか。
社会人になって収入がある長男の部屋には、いつの間にか、空気洗浄機と蒲団用掃除機がある。
ロボット掃除機も買ってくれた。
小中高、部活で忙しい普通の男子の部屋だったと思う。
掃除できる程度には片付けて、と怒りながら、実は私は子ども部屋に限らず、家の掃除や片付けがほとんどできないようになっていた。
そうか。
母も全然掃除なんてできてなかったもんね。
これからか。
掃除から何かが変わることを教えてくれてるのかも。
やっと前に進めそうな気がしてたのに、父のことで振り出し以前に戻ってしまっていた。
でも、今は考えない。今日は考えない。
考えないで、どこか一ヶ所でもきれいにしよう、と思う。