仕事の帰り、広い川に架かる橋を歩いていた。
雨上りであちこち光っている。
高そうなカメラで橋を含めた広い景色を撮っているらしい人がいたのだけど、私は斜め下の光る川面に目がいった。
いつもいる大きなサギ。
のんびり色んな所にとまっているのをよく見かけるので、今日はそこなのか、と面白かった。
それにしても、そこ?
午後雷も鳴り一時降ったので、この辺りもそう違わないだろう。
川の流れは少し賑やか。
その真ん中に大きな石でもあるのか、サギがじっと立っている。
眺めはいいだろうな。
風が気持ちいいだろうな。
のん気に羨ましがっていて気づいた。
流れてくる魚を狙ってるのか。
近くにいた黒い鳥が潜ったのでわかった。
のんびりなんてしていない。
いつも生きるための狩りのタイミングを図っていたんだ。
誰も立ち止まっていない橋で、自分に呆れながら、まだサギの動きを見ていた。
私が何を見ているか不思議だったのだろう。
視界に若いカップルが入って。
初めはたぶん私と同じく川を見ていたと思う。
でもそのうち写真を撮り始めた様子。
サギの?
横を向くと、二人は空に架かった虹をバックに写真を撮っていた。
とても大きな二重の虹。
思わず私も撮る。
もちろんサギも撮る。
みるみる写真を撮る人が増えた。
みんな虹が好きなんだなぁ。
それで、駅まで一緒だった職場の人に写真を送ると、ラッキー!とすぐに返信が来た。
サギのことを一瞬忘れて私も嬉しくなった。