何もかも忘れてうっとり実ってゆく
アンカーのランです。
秋になると
果物はなにもかも忘れてしまって
うっとりと実のってゆくらしい
八木重吉さんの詩。
この詩を筆で書いたのが額に入ったまま実家にあると思います。
昨日の記事を書いた後に思い出しました。
小学3年生くらいからずっと書道を習わせてもらっていました。
社会人になってもしばらく続けていたのですが、たぶん色々しんどいのが重なって行かなくなった気がします。
でも、先生の字がとても好きだった。先生の先生の字も、大好きだった。
なので、またいつか書きたいなぁと思うこともあり、先生の書を見に書展に行ったりもしていました。
でも、会えることは一度もなく。
書きたい字を自分で選ぶことはあまりなかったと思うので、この詩もたぶん先生の好みだと思います。
楷書、行書、草書、隷書、かな、近代詩文。
様々な書体がありますが、私は作品にする時は、楷書や近代詩文をよく書いていました。
なにもかも忘れて実る、なんて。
今の方がきっとこの詩を好きです。
この詩を選んだ時の先生は、まだ40才くらいでしょうか。
とても華奢な方で、とても怖がりな先生でした。
素晴らしい筆使い、白と黒のバランス。
繊細で、エネルギーはそっと隠されてるような字。
すごいなぁ、と先生の手元を見つめていた時間のことが思い出されます。
毎年素敵な年賀状を下さるので、今もお元気なはず。
どうしてるの?と懐かしい声が。
もしも会えたら、私は胸がいっぱいになり、何から話せばいいのか、きっとわからなくなると思います。