アンゴラが入ってる服をそれまでにどれだけ着ていたのかわからない。
6、7年経つだろうか。
デパートの前で、アンゴラうさぎへの虐待について、学生さんたちが訴えていた。
よくある、宗教や、恵まれない人々に、の勧誘か募金だと一瞬は思ったけれど、大きなポスターの文字が目に飛び込んで来た。
自分がそれまで身につけていた数々の物について、考え出すと怖くなり、何も考えずに使ってきた自分が情けなくて情けなくて仕方なかった。
アンゴラってそういうことだった。
革製品ってお肉をもらうのと同じではなかった。
考えたことがなかった。
教えてくれた学生さんに本当に感謝した。
それから、お肉は申し訳ないけど頂く、でも虐待を伴うそれ以外は頂かない、と決めた。
知らないところで間接的に虐待しているのかもしれない。
でも、知ったことだけでもやめたい。
ベルトは元々ほとんど使わなかったけれど、靴で困った。
カバンや財布も、一部に革が使われていたりするので、よく確かめて、全く使われていない物を選び、それをずっと大事に使おうと思った。
なのでいい歳をして、布製のバッグと財布、合成皮革の靴。
羊は虐待していないというのを信じて、羊毛か植物、石油由来の物を使っている。
アンゴラの話を聞いた後、すぐに持っている服を全部調べて、一枚のハーフコートに数%使われているのがわかった。
もうあまり着ていなかったコートだったけれど、自分の愚かさを忘れないためにも残していた。
そのコートを捨てた。