写真は自分のために
写真をよく撮っていた。
旅行の写真、子どもの写真。記念の写真。
嫌がられてもこっちを向いてくれなくても、こっちこっちとしつこくカメラを向けていた。
嫌だから怒ってるのに、笑って、と。
写真は自分のために撮っていた。
私は幸せ、と思う時もあった。
私は幸せ、と思いたかった。
今、撮り続けた写真の中に、悲しい写真がどれほどあるだろう。
こんな時もあったのに、と眺める写真。
そのシーンが鮮明によみがえる写真。
切なくなるけれどとても良く撮れた一枚。
果てしなく後悔する写真。
パソコンの中に取り込んでまだ見ることのできない数千枚。
全部大切だけれど、20枚くらいを選んで、あとは全部記憶ごとなくなれば、それはそれで楽かもしれない、と思ったりもする。
でも、その時は私なりに精一杯だった一瞬一瞬。
やっぱり、どれが合格か不合格かなんて選べない。