役目を果たすだけやわ
やっと髪を切りに行けた。
この2週間は通勤だけで精一杯だったので。
でも、外出自粛で他の人も出歩かないのであまり元気な話題もなく、なんとなく重苦しい空気で助かった。
体温と同じお風呂に浸かっている感じ。
仕事とは違って、少しは気の利いた一言も考えないといけない美容室は、ちょっと行きにくい。
でも、髪なんてどうでもいいんです的な姿勢は良くない良くない、明るい職場作りに協力しなければ。
春先に買ってそのままだった白い服を着て、よし、と行ってみるととても混んでいた。
大衆的な広いお店でスタッフも多く、スタッフ同士の弾んだ声かけがいつも気持ちいい。
今日もなかなか良かった。
髪多いですねぇと言われて、そうですか?栄養状態わるいのに、と冗談ぽく返していると、ミラーに、後ろに並んて座っている高齢の方二人が大きく映った。
二人とも頭に黒いタオル、その頂点に大きくて派手なクリップ、下は白いクロス。
二人とも真正面の私の方向を見ていて、その目はぱっちり、笑ってもいなくて、ブスッともしていなくて、疲れているふうでもない、平然としたお顔。
でもたぶん私のことは認識されていない。
マッチ棒みたい、と失礼ながら思ってしまった。
私には役目があるねん。
それを果たすだけやわ。
もしもお話できたら、そんな力強い言葉を聞けるような気がした。
やっぱり外に出よう。