ずいぶん昔、高校時代の友だちに赤ちゃんが生まれてお祝いに行った時だと思う。
他のことは忘れたけれど、ソファにあった綺麗なピンク色のサテンのクッションと、友だちのある話が印象に残った。
それはお墓参りのこと。
ご主人の実家が法事を丁寧にする家で、お姑さんにお彼岸のお墓参りを促された際に、友だちは断って考えを話したと言う。
生きてる者が大事だから、と。
たぶんまだ20代だった。
私なら内心嫌だと思っても断るなんて出来なかったと思う。
その言葉を、その後の人生で何度も思い出した。
いつか冬の日に、その友だちと待ち合わせをしたこともあった。
会うなり、手袋をしていなかった私の両手を手袋をはめた両手で包んで、寒いね、と優しい声で言ってくれた。
ゆっくり過ごしていると、思いもよらない場面に突然つながったりする。
私にも、好きな光景や好きな笑顔、好きな言葉や声があったなー、と嬉しくなる。
今会えたら、なんて言ってくれるのかな。