これオレの、と言いながら
家族が探し物をしている時、ほら、ここにあるよ、といち早く見つけたのはいつも私だった。
見つけるのは得意なはずなのに。
好きなことが見つからない。
いなくなった父のことを少しでも解決して楽になりたいのに、方法が見つからない。
母親としては全然ダメだったけれど、能力の限り頑張ってきたつもり。
家族はこんな時にお返ししてくれたっていいのに。
今回は私のために見つけてくれたっていいのに …。
私が話をしないのに勝手だけど。
好きな物は元々ないし。
でも、そういえば。
以前なら嫌だと言ったのに買い物に一緒に行ってくれる。
壊れかけている洗濯機の買い替え、話が立ち消えていたお風呂リフォームの見積り依頼を、ネットでサクサクと進めてくれる。
これええやろ、と動画をみせてくれる。
美味しいピザや餃子も作ってくれた。
ロボット掃除機も買ってくれた。
特別給付金を見越して買ったリクライニングチェアが昨日家に来たけど、これオレの、と言いながら誰も持っていかない。
私の気持ちなんてわかってくれそうにないけれど、これが男性たちの考えつく最上級の労りなのかな、とも思う。