呑気な父とまだ何もできない母を見て無理だと判断した長男が、お風呂のリフォームの見積もりを申し込み、営業の人が来てくれた。
マンション用なので大きさはコレ、どのグレードにする、オプションはどうする、選べるのはどっちにする、その程度。
もっと複雑かと思っていた。
壁も床もタイルじゃない。
掃除し易さを求めて、どんどん材質や形が変わっているんだな。
掃除は苦手だから嬉しい反面、タイルがなくなっていくことに少し寂しさを感じた。
長男はいつまで自宅にいるかわからないのに、お風呂が好きなので、私より希望を出したりしている。
壁の一面だけアクセントに色を変える案に、グリーンがいいな、とか。
オプション以外は65%にしてくれる、ということらしかった。
それでも、いくら位かかるのかボンヤリと考えていた金額の1.5倍。
その場で契約はせず考えさせてもらうことにした。
新しいお風呂でも私はゆっくり入れない気がするけれど、もうそんなことは言えない。
前進の大きな一歩にしたい。
分厚いカタログをペラペラとめくってみる。
きれいだなぁ。
やっぱり全部白かな。
洗面所も同時にリフォームした方が安くなるんですか?
営業の人が来てくれた時、急に思い立って
私は聞いたのだった。
ほとんど変わりません。
正直で若いその人は、もしかしたら長男とあまり歳が違わないのか。
名刺の顔写真はとてもふっくらしていて別人のよう。
営業、大変なのかな。
お母さん、心配してるんじゃないかな。
たぶんあの人にお願いすることになるんだろうな、と思う。